少し前から X (旧 Twitter) や Qiita、Zenn で見かけることがあった仕様駆動開発について調べてみた。
仕様駆動開発
仕様駆動開発(Spec-Driven Developmet, SDD)という言葉を最近目にするようになった。今日の文脈においては、何かしら AI (LLM) を使って仕様書を作成し、その仕様に基づいてコードを生成する開発手法のことを指して使われていると思う。従来の開発も仕様を基に行われているのだからこの命名は適切なのかという疑問があるがこの名称で定着している。
AI コーディングエージェントを使った開発では、漠然としたプロンプトによるコード生成により目的に沿わない結果が生れるという体験に頻繁に遭遇する。そのような問題を解決するために、明確な仕様を中心に据え、曖昧なプロンプトを与える代わりに具体的な仕様を与えることで AI による推論を減らし、意図したコードが生成される確率を高め、試行錯誤や修正の工数を減らすアプローチとして SDD が提唱されている。
更なる発展として、LLM の対話から仕様を形式的に記述し、従来の形式手法による検証と合わせることで正確性が重要となる組み込みソフトウェアの領域においても仕様駆動で開発を進める手法も模索されている。
主要なプラグイン、IDE、サービス
2025/11/16 時点で『仕様駆動開発』を謳っているプラグイン、エディタ、サービスをまとめた。
| 公開時期 | プラグイン/エディタ/サービス | 開発元 |
|---|---|---|
| 2025/07 | Kiro | Amazon.com, Inc. |
| 2025/07 | cc-sdd | gotlab (個人) |
| 2025/07 | Tsumiki | Classmethod, Inc. |
| 2025/09 | Spec Kit | GitHub, Inc. |
| 2025/09 | Spec Workflow MCP | Pimzino (個人) |
| 2025/07 | CodeBuddy | Tencent Holdings Ltd. |
| 2025/09 | Tessl | Tessl AI Ltd |
| 2025/04 | Acsim | ROUTE06 |
この表に載せていないプラグインも存在するが、開発元が不透明であったり、GitHub のスターが少ないものは除外している。
Kiro
Kiro は Amazon が開発しているエディターだ。 Cursor と同じように VS Code がベースとなっているため、VS Code ユーザーにとっては馴染みの UI となっている。また、VS Code のプラグインをインストールして使うこともできるので VS Code ユーザーが仕様駆動開発を体験してみるにはうってつけだろう。
開発を一通り進めるためには有料プランの利用が前提となってくると思われるが、Free プランで月に 50 クレジット (2025/11/16 時点) 利用できるため、とりあえず使ってみるのはどうだろうか。私もこの記事を書きながら Claude Code に開発させようと思っていたアプリケーションを一つ試しに作られている。 50 クレジットがどのくらい使いものになるのか判断し、毎月 Free 枠を使って要求定義、仕様定義、タスク分解くらいまでをやらせるために使っていけたらと思っている。
cc-sdd
cc-sdd は日本人が開発している。 Kiro が発表されたときにキャッチアップできていなかった人は、Zenn の記事 で仕様駆動開発に知った人も多いのではないだろうか。いいねの数も多く、Zenn の人気記事ランキングにも入っていたと思う。
cc-sdd は Kiro の仕様駆動開発を再現できる Claude Code のプラグインとなっている。 Kiro よりも Claude Code を使っている人の方が多いと思うし、VS Code ベースであれば Cursor を使っている人の方が多いと思う。そのため、わざわざ新しくテキストエディタを導入するのが億劫であったり、会社の規則で好きにエディタを導入できない場合にはこちらが選択肢となる。 Claude Pro や Max に契約している人にとっては追加の費用なしに仕様駆動開発を行えるという点で魅力的だ。
Spec Kit
Spec Kit は GitHub が公開した仕様駆動開発のためのツールキットとなっており、既存の AI コーディングエージェント(GitHub Copilot や Claude Code、Gemini CLI)向けに仕様駆動開発を進めるための指示、ドキュメント、設定を生成してくれる。そのため、開発を進めるときは使い慣れたツールで行うことになる。これは良い点ではあるが開発フローがツールに最適化されないという点では快適さを損う可能性がある。開発元が GitHub なので今後も継続的に改善されていくことを期待したい、という段階だろうか。
Spec Workflow MCP
Spec Workflow MCP は、仕様駆動開発の流れを支援するための機能を MCP として LLM に提供する。また、ダッシュボードや仕様管理のための Web UI、VS Code プラグインを提供している。個人開発のようだが結構気合いが入っている印象だ。開発も継続的に行なわれているようなので、仕様駆動開発のフローだけでなく、それを取り巻く周辺ツールも含めて今後も発展していくと思われる。
MCP として提供されているため、AI コーディングエージェントを選ばずに使えるのもいい点だ。
Code Buddy
Code Buddy は、中国の企業であるテンセントが公開している VS Code ベースのエディターだ。系統としては Kiro と同じになる。ホームページで某ハードで発売していたゲームのキャラを彷彿とさせるキャラクターが動いている。
料金体系を見ると Free と Pro があるが、Free の方の書き方を見ると 2 週間の Pro トライアルと 250 クレジットが無くなった後はタブや次の編集箇所の補完しかできなくなるように見える。
Google で検索しても日本語の情報がほとんど出ない。
Tessl, Acsim
Tessl, Acsim は触れる機会がなさそうなので名前を挙げておくだけにする。
おわりに
現時点で把握している仕様駆動開発をサポートするツール、エディタ、サービスについてメモとして残しておく。これらのツールを使う、使わないに依らず、仕様駆動開発のフローにコーディング AI エージェントを乗せてソフトウェアを構築するための仕組みやテクニックは参考になると思う。現在取り組んでいることが一段落したらワークフローの構築やプロンプトの書き方についても見ていこうと思う。
